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コルソス島奇譚 『ちょっと待って、ここは何処なの?』

 意外に思うだろうが、僧職に携わる者は、厳つい筋肉、或いは、頑健な体がなければ始まらない。
 
 それは男女の別なく、信仰する神も同様で、その地域に根付いて生きる人々の暮らしを、影から支える為に、様々な奉仕活動に携わるからだった。ましてや、ドワーフである彼女、フラワーは、その種族の生まれによって、見事な酒樽というべき頑丈な体つきをしている。とはいえ、女性特有の柔らかさを失ったわけではなく、ふくよかなその双丘に、フラワーよりもやや背の低い娘が、まるでむしゃぶりつくように顔を埋めて、泣いていた。 

 フラワーは、ルイズの背中を優しく、ポンポンと叩きながら「気が済むまで泣いちゃいな」と、彼女の耳元に囁きかける。かつては、侍女に手入れをされていただろうピンク・ブロンドの美しい髪は、潮風を浴びすぎて、ベタつき、ひどい有様になっていた。

 そうして、10分もたっただろうか、ルイズはようやく落ち着いたのか、顔をあげた。

「ひどい顔。それに着替えもしないといけないから、湯を持ってきてもらおうね」

 フラワーがそうルイズに話しかけると、ルイズは困惑した表情を浮かべた。

 いけない、この子は竜語しかわからないんだったと、フラワーは思い出し「face and body wipe hot water」と覚えている限りの単語を、適当に並べて、身振り手振りでルイズに話しかけた。

 ルイズは「thank you」と消え入りそうな程か細い、だが、綺麗な竜語で返答し、フラワーに微笑み返した。

 フラワーは、ルイズの様子に安心して、階下に降りた。


 フラワーが階段を降りて酒場に戻ると、カウンターの右横にある扉から、才人とセリマスが出てきた。悄然とした顔を共に浮かべている。セリマスは伏し目がちで、才人の方を見やると、その顔は青ざめていた。

 才人に会ったら、セリマスの様にアタシも一発ドついてやろう、と思っていたフラワーだったが、二人の様子に気が抜けてしまい、彼女の怒りの矛先は行き場を失った。

「セリマス、そんな顔してどうしたんだい?」

 セリマスなら事情を詳しく知っているだろうと、声をかけると、セリマスは「コボルドが1匹死んだのよ」と、口惜しげに答えた。

「コボルドが死んだ?」

 コボルドなら、シグモンドが地下のワインカーヴに押し込めていたはず。仲間割れでもしたのだろうか?

「竜語だから、よくわからないけど、毒を受けたって」
「……名前は忘れたけど、共通語を話せるコボルドがいたはすだよ。彼から事情を聞いてないのかい?」

 それが……と、言葉を濁したセリマスの後を継いで、才人は、この背の低い女の子、ドワーフなんだろうなーと思いつつ、事情を語りだした。

「あいつら、なんだか頭に血が上って、こっちの話きいてくれないんですよ」
「そうなんだ。あー、そういや、頭に血が上った女の子がもう一人いたっけ」

 フラワーがそういうと、サイトは流石にバツの悪い表情を浮かべて「俺、謝ってくる!」と階段へかけ出した。

「待ちな!」

 フラワーにガシっと肩を掴まれた才人は「痛ぇ!」と悲鳴をあげた。

 星型鈍器を振り回す彼女の握力は、当然ながら高い。平均的日本人、かつ、特に鍛えたわけでもない才人の体は、彼女にとっては。もやしも同然だった。

「イングリットにお湯をもらって、今からルイズの体を拭いたりするから、呼ぶまで来るな。それと着替えろ。ラースのゲロの上ですっ転んだだろ?」

 こっちの準備ができたらルイズを連れてくるから、それまでに支度をしておきなと言い放ち、フラワーはカウンターの内側へ入って、台所に通じる扉を開けた。

「イングリット、いるかい?」

 フラワーが中に入ると、渋面を浮かべて手の平を摩っているイングリットが、かまどの横の壁に背を預けているのが見えた。

「イングリット?」

 フラワーが再度問いかけると、イングリットは「ああ、ごめんなさい。何かしら?」と、浮かない表情でフラワーを見た。

「どうかしたのかい? 心配事?」
「心配事なら山ほどあるわよ。村の事とか、息子の事とか、山程ね」

 微笑を浮かべるイングリットの口元には、笑い上戸な海の女らしい、笑い皺が浮かんでいるが、今やそれが理由ではない皺も増えていた。

「手が痛くてね……」
「ちょっと見せて」

 フラワーがイングリットの手を見ると、アカギレを起こして、指の皮膚が割れていた。フラワーは、ベルトポーチに差し込んでいる軽傷治療薬を手に取ると、蓋を外し「ちょいと染みるよ」と、まずは掌に少量垂らし、それを傷口に摺り込んでゆく。

 イングリットは、痛みに思わず呻いてしまったが、魔法の薬が染みこむと同時に、傷を癒してゆく奇跡に見とれ、感嘆の声を上げた。

「すごい!」
「アカギレだね。あとでリナールから船乗り用の保護油をもらってくるよ。水仕事の前にそれを摺りこんだら、アカギレから手を守ってくれる」
「これがアカギレって症状なの?」

 驚くイングリットに、そうだよ、とフラワーが微笑む。

「ここいらは南国だから、こんな症状初めてだろ? 北国だと水が冷たいからアカギレなんざ日常茶飯事さ」
「私、珍しい事を体験しちゃったな。あ、いけない、フラワーお代は?」

 魔法の薬を分けもらったのだ、それなりの値段がするはず、と、イングリットは覚悟した。

「一瓶まるごとなら金貨50枚はもらうところだけど、いいよ。そのかわり、夕食は肉を一切れ多くのせておくれよ」

 お腹すいちゃってさー、アハハと豪快に笑うドワーフに、イングリットは「もちろんよ二切れは多くのせてあげる」と請け負った。

 フラワーは、よっしゃ! と拳を握って、彼女が信仰する商業と富の神コル・コランへ感謝を捧げるのだった。 

 
 体を拭き、着替えを済ませたルイズと才人は酒場に降りてきていた。

 ルイズは、イングリットから、知人からの貰い物だという黒い女性用のローブを新たに纏っている。見返しの部分は赤く、ラペルには髑髏と弦楽器が白い絹糸で刺繍しているあたり、このローブの送り主はちょっと、やんちゃな事をしていたのかもしれない。翻って才人の服を見れば、先程までは、胸に穴の開いた木綿の長袖だったが、今度は、ステテコではなく、淡く若草色に染め上げたスボンと、腹に穴が開いて、そこが赤茶けたシミになっているシャツを着ていた。どうにも、気になったのでアイーダに聞いたところ「おかーさんが、まだ使えるから剥いだって言ってた」と答え、一体何から剥いだのか、怖くて聞けない才人であった。

 階下に降りてから、二人はまだ一言も言葉を交わしていなかった。それどころか、ルイズは才人の方を見ようともせず、才人はじぶんの手荷物をもって、きまり悪げに、ルイズの方を見ていた。そんな彼らの傍らには、フラワーとセリマスが付いている。ルイズが解き放った魔法の威力を、見て知っていたので、ルイスが激高して、魔法を放とうとしたときは、即座に組み伏せようと二人は考えていたのだった。

「ルイズ、俺が悪かった。ゴメン!」

 才人は、腰を深く折って頭を下げた。

「あと、気持ちばかりですけど、手持ちの品をいくつかお納めクダサイ……」

 語尾が消え入りがちな、小さい声で才人はそう続けた。ついでにスーパーの袋を開けて、地球の生活用品……ウェット・ティッシュ、カップ麺、飴玉の詰まった袋、じゃがいも、人参、醤油、味噌、豚肉300g、割り箸、アルミホイル、昨日ゲットした魔法の剣等々、次々とカウンターに置いていった。

 ルイズは、それらの品々をチラリと見て、一瞬物珍しげな表情を浮かべたものの、次の瞬間には、あっさり無視して、カウンター・スツールへ腰掛けた。腰掛けてから、才人をちらちらと見て、何か言いかけたが、彼女の表情を見るかぎり、仲直りしましょうというのではなく、怒りのあまり、うまく言語化できないと言ったほうが正しいようだった。

 「休戦する前に、腹ごしらえしようじゃないか。腹が減ってたら許せるものも許せなくなるからね」

 フラワーは才人にメニュー表を見せ「ほら、どんなメニューがあるか教えてあげな」と、二人の間をとりなそうとした。ところが、才人は「あの、俺、字が読めないんだけど……」とまごつきながら切り出した。

 才人の言葉に、フラワー達は驚いた。特にルイズは、才人がフラワー達と普通に話せていることから、多少は学があると思い込んでいたのだった。

『アンタ、字読めないの?』
「いや、日本語はわかるよ。こっちの字が読めないんだって」
『どうしてよ。アンタ、この人達と言葉通じているじゃない!』
「そんな事言われても知らねーよ! 日本語での会話と読み書きはできるけど、こっちの世界の読み書きはできないの!」 

 竜語と共通語がチャンポンなった会話に、セリマスとフラワーは慌てた。話が片方しかわからない上に、「ニホン語」とか「こっちの世界」という単語が出たからだ。

「二人共待って。私達は互いのことを知らなさすぎる。だから、何が起こったのか話して欲しいの。もちろん食事の後でね。私がメニューを読みあげるわ」 

 もちろん、セリマスの奢りだと、フラワーは後から、しれっと付け加えた。 

 現在、浪高亭で食べることのできるメニューを、セリマスは読みあげた。それを才人がルイズの為に復唱する。


 1. 茶色くブクブク泡だった何か(飲み物)  銀貨3枚と銅貨2枚 

 凝視さえしなければ最高の味。

 2. ひき割りトウモロコシのおかゆ 銀貨5枚と銅貨8枚 

 暖かで、ミルクと蜂蜜で味付け

 3. ダーティ・コボルド 銀貨5枚と銅貨8枚  

 寒い夜にベランダで飲む温かいチョコレートは素敵

 4. ニラネギとジャガイモのスープ 金貨1枚と銅貨4枚

 ニラネギとジャカイモを茹でて作られた、喉越しさっぱりの冷たいスープ

 5. 濁った水 銅貨8枚

 あんぜんだけど、あとあじわるいよ?  かいた人 あいーだ 今、字のれんしゅうちゅうなの

 6. エンドウ豆のスープ 銀貨1枚と銅貨2枚

 注 コルソス島に入港したすべての船員へ 船長の特別なお計らいがない限り、これしか食べてはいけない。他の食い物が食べたければ自費で払うように。

 7. 干からびたパン 銅貨4枚

 日にちの立った黒パンの塊

 8. 温かいミルク  銀貨1枚と銅貨1枚

 胃痛と不眠症に対する最高のお薬

 9. コルソス牛 ステーキ 金貨3枚

 コルソス島の果物だけを食べる、でっぷり太ったネズミの肉。ほのかに甘く、美味 (現在入荷未定)

 10 冷たい水 銀貨1枚 

 新メニュー、アカギレ起こすほど冷たい水。


 セリマスがメニューを上から読み上げるたびに、才人とルイズの顔は曇っていった。メニューの読み上げが終わると『「人間の食べ物はないの?」』と、同時に声を上げ、この時、主従(仮)の心が初めて一致した。

「人間の食べ物はないのって……あなた達、普段どれだけ贅沢しているの?」

 あまりの物言いに、セリマスも流石にあきれ果てた。コルソスのような寒村なら、至って普通の内容だったからだ。

「いや、だってさ、まともな食い物ってダーティ・コボルドとかトウモロコシのおかゆとかぐらいじゃね?」
『茶色くブクブク泡だった何かって何よそれ……』

 才人はため息をついて、「お湯もらえない? 皆の分あるからさ」と、カップ麺のビニール包装を解きはじめた。

「そりゃなんだい?」

 フラワーが興味津々にカップ麺を眺める。見たことのない材質、自分が読めない文字、まるで、空間を切り取ったような精巧な絵……何もかもが珍しい!

「ラーメンって言う保存食なんだ。けっこう旨いんだぜ」

 こうやって、スープを乾燥させてできた粉をいれて、お湯を注いで、3分待つだけだよと、作り方を才人は教えた。透明なビニールにおっかなびっくりの手つきで触る3人の手助けをして、イングリットからもらったお湯を注ぎ、携帯電話の目覚まし機能を3分にセットする。

 セリマス、ルイズ、フラワーは、割り箸を上手に使えないだろうと、才人は考え、イングリットにはフォークを3人分用意してもらい、自分は割り箸を使うことにした。

 使い方のわからない品物を、解説を交えながら、鮮やかに扱う様を見て、ルイズら3人は「流石は商人の息子だな」と思っていることを才人は知らない。そして、ピピっと携帯から電子音が響くや否や「頂きます」と手をあわせ、割り箸を割り、ズルズルとあたりに響く程豪快に啜るのを見て、「つい最近成り上がったばかりで、子弟教育まで手が及んでない商人の息子」と3人は、評価を下方修正した。

 音を立てて麺を啜るという行為が、才人の故郷では普通の事だというのは、彼らの想像の埒外という外なく、ある意味仕方のない事だったが、「その音はヤメテー」という言外の視線(しかも3人分)に気づかず、食事を続けるのは、伊達男を気取るリナールが見ていれば、明らかに減点項目に映っただろう。

 ともあれ、才人の地球製品のプレゼンは無事、終了し、トンコツ味のカップ麺は好評を持って迎えられたが、ルイズの口から「許す」という言葉は、まだ発せられていなかった。

「さて。腹も膨れたし、お互いの自己紹介からするとしよう。私の名前はフラワー、商業と富の神、コル・コランの僧侶だ」

 自己紹介はフラワーから始まり、セリマス、才人、ルイズの順で始まり、ルイズは、雪の荒野でサッド達に語ったように、魔法学院の進級試験で、召喚の儀式を行った事、使い魔或いは、姉を癒すことのできる魔法の品を求めて、門の内側に入ったこと、目の前にいるボンクラに出会った事を語り、才人が同時通訳として、フラワー達に伝えた。

『才人、アンタにわかる? 眼の前に緑色の触手がにょろんと出てきた時の私の恐怖が。私はアンタを許さない。平民が貴族に向かってあんな恥をかかせて、普通なら死刑よ。でも、ここは私の国じゃない。この国にはこの国の法があるわ。だから、あなたはまだ生きていられるのよ。それを忘れないで』

 身分制度というものを肌身に感じず、生きてきた才人には、その感覚を理解するのは難しかった。江戸時代の無礼討ちみたいなものか……と、朧げながら理解し、自分のしでかした事の大きさに、改めて青ざめた。

「本当にゴメン。いや、すいませんでした」

 今まで比較的、軽い気持ちで誤っていたが、才人は今度こそ、真剣に、心の底から謝罪した。

「ねえ、才人。ちょっと気になったんだけど、ジーツがあなたの事を、別の次元から来たって言ってたけどホント?」

 この場の重い空気を変えたかったのか、セリマスが才人に質問した。

「そうだけど……セリマスさん、今までの話聞いてたでしょ!?」
「聞いていたけど……私はタルブロン程には魔法に詳しくないのよ。確かにトリステインという国は聞いたことないけど、別次元から来たっていうのはちょっと……」
「それ証明するの簡単じゃん。俺の持ってる珍しい品物なんてのより、よっぽど説得力あるよ」

 才人は事もなげに言った。

「セリマスさん、このエベロンって月の数は、いくつあります?」

 才人の突拍子もない質問にセリマスは面食らったが「13個よ」と答えた。その答えを受けて、才人はルイズに向き直った。

「ルイズ……さんの故郷では、月がいくつ見えます?」

 やたらと丁寧な言葉で、才人はルイズに質問する。

『2つだけど……それがどうしたのよ?』
「俺の故郷、太陽系第3惑星、地球には、月が1個しかない。ルイズさんの所は2個、俺たちが今いるこの星、エベロンは13個だ」

 才人の言葉に、ルイズらはポカンとした表情を浮かべた。彼らの表情を見た才人は、彼女達の頭の上で、クエスチョンマーク達が腕を組んでラインダンスを踊る幻想まで見えてしまった。

『アンタの言ってる意味がわからないわ』
「それ数え間違いじゃないの? それか月食か」
「だーかーらー、惑星エベロンの月は13個、地球は1個、ルイズさんの住んでる星は……ハルケギニアっていったっけ? 惑星ハルケギニアは月が2個なの。俺とルイズさんは、召喚の門を超えたら、全く別の星に来ちゃったの!」

 才人がそう言い切ると、辺りに沈黙が満ちた。セリマスは「そもそも何を質問していいのか分からない」といった塩梅で「……よくわからないんだけど、私達って星の中に住んでるの?」と才人に聞いてくる始末だった。

「おい、そこからか! エベロンの天文学ってどーなってんの!?」 

 才人は頭を抱えた。
 
『ちょ、ちょっと待って! 別の星ってどういう事よ! ここは東方じゃないの? サハラを飛び越えたところにあるロバ・アル・カリイエじゃないの!?』

「違うよ。だって、俺の故郷にフラワーさんみたいなドワーフも、ジーツみたいなハーフリングも、タルブロンさんみたいなウォーフォージドもいない。ましてや魔法なんてお伽話みたいな物語の中にしかでてこないぜ。だからここが、俺の故郷、地球じゃない、全く別の星だって気づいたんだ……」

 才人がそう言うと、ルイズの眦が剣呑な輝きを帯びた。

『その口を閉じなさい平民! お前は私を騙そうとしているんだ!』
「嘘なんて言わないよ。今度ルイズさんにそんなことしたら、俺、間違いなく殺されるじゃん。夜になったら月が出る。その数を数えればここがハルケギニアじゃないって、わかるよ」

 才人が断言すると、ルイズは呆然とした面持ちで『わ、私どうやって帰ればいいの? 陸路は無理でも海路を使えば、数ヶ月かかっても帰れると思ってたのに……』と呟いた。そして、何かに気づいたのか、ハっとした顔で才人を見た。

 そうだ、サモン・サーヴァントの呪文なら、門を通ってきたんだから、そこを通れば帰れるかも!

 ルイズは腰の杖を抜き放った。その動きにフラワーとセリマスは「才人が殺される!」と勘違いして、ルイズを止めるべく、突進した。

「ルイズ、cool down!」
「ルイズさん、落ちついて!」
『ちょ、何よアンタ達、離しなさい! 私はサモン・サーヴァントを唱えるだけよ!』

 そうやって、3人がもみ合っていると、波高亭の入り口が開き、シグモンドの「さあ、入ってくれ」という言葉と共に、サファグンが2匹戸口に現れた。

 才人とルイズは突然現れた半魚人に仰天し、才人はカウンターに置いてあった剣を自分に引き寄せ、抜こうとし、ルイズは杖をサファグンに向けようとした。2人の肩に手を置いて「待って」と声をかけたのは、セリマスだった。

「彼らは武器を持っていないわ。それに彼を迎え入れたのはシグモンドよ」

 才人は同時通訳として、その事をルイズに伝えた。ルイズは不安げな表情を浮かべながらも、納得して杖を収めた――その時だった。

 折悪しく、カウンターの横の扉が開き、コボルド達が中からぞろぞろ出てきてしまい、サファグンの姿を視認してしまった。

「enemy in coming!」

 コボルド達は、ディックの掛け声と共に入り口のサファグンに次々と襲いかかった。









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