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コルソス島奇譚 Day2 夢

 コルソス島の地元民が、生贄の木と呼ぶ巨木の洞には、海神ディヴァウラーを称えるシンボルが拵えられている。幾重にも連なる乱杭歯、まるで、鮫の歯を模したかに見えるそのシンボルには、哀れな犠牲者の血がこびり付いていた。
 赤茶けたその染みは、今宵、新鮮な鮮血を持って、再び鮮烈な紅を取り戻す。冒険者の助けにより、水牢から助けてもらった商人達は、半分が殺され、残りの半分は運悪く、再び捕虜となった。

 彼等は、『帰依することなく逃げ出した罪』により、慈悲も容赦も受け入れられず、邪なる儀式によって終にその生命を散らす――はずだったが、いまだに生きながらえている。儀式を行う巫女が冒険者の手にかかり、死んだからだ。

 本来、巫女を護衛し、また、世話する副官、ヴェッツ・スプラーは巫女の命令で、別の案件のために、彼女の側を離れていたのが災いした。

 守るべき巫女を死なすという大失態である。失敗をどう償うか、これからどうすればいいのか、彼は頭が痛かった。部下がつれてきた、美味そうには見えない地上人の処遇も悩ましい。今までは、巫女の言うとおりにすればよかった。自分で考え、判断し、命令を下すのがこんなにも頭を使うことだったとは……。

 猛る筋肉に従い、槍を振って今の地位を勝ち取ってきたヴェッツ・スプラーは、この夜が、恐らくは生涯で最も頭を使った時間になった。


 地上人達がコルソスと呼ぶこの地は、本来、自分達の領土ではない。

 何が原因かは不明だが、この地のサファグン達、灰肌族が一斉に行方を晦ました。巫女の命令に従い、新たな領土を得て、落ち着いた頃に、奴ら・・・がやって来た。

ある一定の人数を死人に仕立て上げたら、我らには手を出さないとの約定を巫女が交わした――

 死人を何に使うのかは知らないが、向こうから追加の人数を言ってこない限り、目の前にいる哀れな地上人達を喰っても問題はないはずだ。追加の人数を言ってきても、巫女がいない以上、生ける死者を作ることが叶わないのだから、約束を破った事にはならない。だいたい、奴ら・・・は気にくわないのだ。何か文句を言ってきたら槍でぶちのめせればいい。

 ならば答えは簡単だ。

 自分のやりたいように振る舞えばいい。

 そう、オレはこの島のサファグン達の中で、今、最も上位者なのだから……。
 
 
 長い思考の果てに、ヴェッツ・スプラーは「お前たち、こいつらを喰っていいぞ」と結論を口に出した。

 洞に集められ、サファグン達に槍を向けられ、寒さと恐怖に震えていた商人たちは、悲鳴をあげ、慈悲を乞う。

 お楽しみの時間を、今か今かと待っていたサファグン達は、人間達に向けていた槍を、喜びと共に次々と突き刺した。生命が途絶える瞬間に沸き起こる断末魔と、骨を折って、肉を咀嚼し、血を啜る忌まわしい雑音が、生贄の木洞の中で反響する。

 村の外に出ている、耳聡い斥候ならば、その音が聞こえたかもしれない。

 ヴェッツ・スプラーの側にいるサファグン、新たに任命した副官ヒュール・エイがエラを鳴らし、自分はどうするのか? と問うた。

「オレはいらん。齧り付くなら、エルフ女の太腿がいい」

 そういえば、エルフ達が沢山乗った船が村に入港していたな、と、ヴェッツ・スプラーは思い出した。

「おい、お前ら、明日は村を襲撃だ。エルフ女がいたら掻っ攫おうぜ」

 その声に、サファグン達は槍を高く掲げ、再び歓声をあげた。


 †


 ここはどこだろう? 確か自分は、襲いかかる蜘蛛の群れに向けて、魔法を解き放ったはず。

 
 ルイズが目を覚ましたのは、どこか見覚えのある部屋だった。が、視界がぼやけて正確には認識できず、世界は灰色がかっていた。

 目の前の風景は、湖に映る月のように儚く、ワインを飲み過ぎて、酩酊している様な感覚でもあり、頭がうまく働かない。加えて、体がふわふわと浮いているような気がする。魔法の使いすぎによる疲労か、それとも別の要因なのかすら、今のルイズには判断できなかった。

 体も、頭も、まともに働かない中、ただ、ぼんやりと部屋を眺めていると、ベッドには誰かが上体を起こして、本を読んでる人間が――

 そこで、漸く、自分が部屋の入口に立っている事に、ルイズは気付いた。

 不意にドアが空き、小さい女の子が入ってくる。その女の子は、入り口に立っているはずのルイズを、気にすることなく突き抜けて、ベッドサイドまで駆け寄った。


 ベッドの上の人物と、駆け寄った女の子は、共に同じ髪の色……ああ、私だ、幼い頃の私だ。と、言うことは、ベッドの上で本を読んでいるのは、ちい姉様だわ……。


 ルイズは今、自分が夢、それも過去の夢を見ているのだと認識した。すると、ぼやけていた視界がクリアになり、灰色がかった世界は、本来の色を取り戻した。

 ベッドに上体を起こして、本を読んでいたのは、ルイズの姉、カトレアだった。

 公爵家の次女で、母と同じピンク・ブロンドの豊かな髪を持ち、母や姉、ルイズと違い、父、ヴァリエール公ピエールに似たのであろう垂れ目は、まだ幼いルイズに慈愛の眼差しを注いでいる。同年代の子弟と比しても、やや長身で、豊かな胸と相まって、一見して母性に満ちた女性だと伺える。

 隣領のゲルマニア帝国、ツェルプストー家の人間なら、鳶が鷹を生んだと、あえて語弊のある例えで、ヴァリエール家を揶揄したことだろう。それほどに、代々性格がキツいと言われるヴァリエール家の女性達の中で、一家の癒しといえる女性であった。

「あら、ルイズ。ノックはどうしたの?」
「ごめんなさい、ちい姉様。ちい姉様にお花を見せたくて……慌てていたので、忘れてしまいました」
「まあ、それは嬉しいけれど、部屋にはいる前には、ノックを忘れてはいけないわ」

 カトレアは本を閉じ、ルイズの頭を撫でた。

 なでられたルイズは顔を綻ばせ、されるがままになっている。もし、彼女がネコであったなら、ゴロゴロと喉を鳴らしていただろう。

「ちい姉様、この間から何を読んでるのですか?」

 子供のルイズは、姉が持っている本を見つけ、質問した。

 カトレアは、幼少の頃から病弱で、両親が人脈と資金を、惜しみなく注ぎ込まなければ、とうの昔に死んでいた、と、社交界のみならず、平民たちも噂する、まさしく、深窓の姫である。魔法を使うと、発作を起こすという病であるが故、魔法学院にも行けず、当然の事ながら友人もいない。

 そんな彼女の友は、本と、窓辺に訪れる鳥、両親が慰めに買ってきた動物たちだった。
 
 彼女の傍らにいるはずの動物たちは今、メイド達によって連れだされ、庭に放たれている。動物たちが「構ってくれ」と主人カトレアを邪魔して、読書に集中させないから

だった。動物を愛するカトレアといえど、集中して邪魔されたくないときだってある。

 やっと、静かになったと思った時に、幼いルイズが飛び込んできたのだった。

 ルイズの質問に、カトレアにはめずらしく、一瞬だけバツの悪い表情を浮かべたが、彼女は、愛する妹には、正直に答えた。

「ルイズ、私と貴方だけの秘密を……守れる?」

 カトレアは悪戯めいた微笑を浮かべ、ルイズのそう問い返す。

「守れます」

 子供のルイズは真剣にうなづいた。

 カトレアは続けて、「エレオノール姉様にも、母様にも秘密よ? もちろんお父様にも」と重ねて問うと、間髪いれず、「秘密にします」と答えが帰ってきた。

 ルイズのその答えに満足したのか、カトレアは、「実はね……」と秘密を語り始めた。

「地下の書庫に隠し棚を見つけたのよ。そこには、この本が隠されていた。ルイズ、表紙を見て」

 文字を習い始めた、幼いルイズにも、そして、この風景を夢として見ているルイズにも、その文字は読めなかった。

「ちい姉様、読めないよ~」
「実はね、私にも読めないの」

 ええー、おはなししてもらおうと思ったのにーと、幼いルイズが抗議した。彼女は物語の本だと思っていたらしい。

「ふふ、ごめんね。でもね、私は考える時間だけは、あるから……、少しずつ解読してるのよ」
「かいどく?」
「そう、ちょっとずつだけど、この本が読めるようにお勉強しているの。私ね、この本は東方から来たんじゃないかって思っているの。きっと、何かステキな物語が書かれてあるんだわ。だから、この本が読めるようになったら、ルイズにおはなししてあげる」
「ほんと!? ちい姉様、約束だからね!」
「約束するわ」
  
 
 ……こんな約束、私、全然覚えていない。


 部屋の隅で、夢の風景を見ていたルイズは、愕然とした。軽度とはいえ、精神的な衝撃を受けたルイズの、夢の風景は急速に色を失い、遠くへと流れ去っていく。

「待って、もう少し! 大切な事だったら思い出さないと!!」

 ルイズは叫ぶように声を出し、遠ざかっていく景色に手を伸ばす。しかし、彼女の精神は、エベロンにある現実の肉体に、引っ張られ、夢の領域ダル・クォールから帰還した。

「待って!」

 ルイズは身を起こすと、室内を見回した。

 固くて体の節々が痛くなるベッド、毛足が短くて、魚の臭いが染み付いている臭くてゴワゴワした毛布、斧でも叩きつけたのか、裂傷が入って中身が見えているクローゼット。平民向けの宿屋なのだろう、はっきり言って粗末な室内だ。そうして視線を巡らしていると、ベッドサイドに、自分より幼い娘が突っ伏して寝ているのを見つけた。この小さな女の子が、気絶した後の自分を見てくれたのだろうか。一見した所、10歳になるか、ならないかといった娘だった。

 長く豊かなブルネットの髪を後ろに流して、丸耳が髪の中からちょこんと出ているのが可愛らしい。

 顔は突っ伏してよく見えない為に、おでこが余計に広く見えている。

 ルイズは、級友のモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシを思い出した。彼女との仲は良くも悪くもない。それでも、遠く離れた地に来た今となっては、彼女のことを酷く懐かしく感じる。

 突っ伏した娘のおでこを眺めているうちに、ルイズは視界の端に、自分の物ではないローブの袖口に気づいた。

 ルイズが着せられていたのは濃緑のシルク・ローブで、衿と袖口には毛皮がついている。それが、時折吹き込んでくる隙間風を和らげていた。蹴出しの内側は赤く、細かく、まるで鎖のように縫いこまれているのが、強く印象に残る。

 ルイズには読めなかったが、それは共通語で"セリマス"と縫い込まれていた。

 ローブの上裾をつまんで、ちらりと覗くと下着も替えさせられていた。

「ん~?」

 自分に着せられていた服が気になって、ベッドでモゾモゾしていたからか、ルイズは女の子を起こしてしまった。

「オ、オハヨウゴザイマス」

 ルイズはサッドに教えてもらった朝の挨拶を、自信なさげに口にした。

「あ、オネーちゃん起きたんだ? お母さんに知らせてくるね!」

 少女は、その場から飛び起きると、ルイズが問いかける前に部屋から出ていってしまった。

(さっきの夢は何だったのだろう……)

 しかし、いくら思い出そうとしても、今のルイズには思い出せなかった。


 †


 母ちゃんが台所で夕飯を作っている。

 親父はリビングのテーブル上で広げられてる写真を眺めている。後ろから覗きこむと、でかくて背の高い、たぶん10メートル以上はありそうな、ウォーフォージドの足元に、ルイズと誰か知らんおっさんが写ってた。

 俺に気付いた親父が「才人、このタイタンを整備してるおっさん……ラース・ヘイトンと言ったか? 会ったら言っておけ」というので、「なにを?」と聞き返した。

「こいつの肩は赤く塗らねえのかってな!」

 親父がドヤ顔で宣ったが、正直意味がわからない。「はあ?」と聞き返すと、いつの間にか母ちゃんが近寄ってきて、お玉で親父をどついた。

「貴様、塗りたいのか!?」と言う母ちやん。「へへ、冗談だよ……」と返す親父。

 これはアレだな。知ってる人にだけ分かるって奴だな。呆れてジト目で二人を眺めていると、二人して「イェーイ!」とハイタッチまでかましてる。

 仲良し夫婦にも程がある……と、俺は思う。

 ちょっとした昔に、この二人の結婚までのアレコレを聞いた時、聞かなきゃよかったと思ったくらいだ。恐らく、聞いた人みんなそう思うんじゃないかな。


 間違いなく、親父の血を引いている俺が言うのもなんだが、親父はぶっちゃけドジっ子だ。どれくらいドジかというと、フランス、ルノー車の車にメガーヌってあるだろ? 綴りで書くとMEGANEってなるんだけど、これをそのまんまメガネと読んで、メガネっ娘愛好者御用達の車だと思い込み、ローンと体張ったギャグをやっちまうくらい、極めつけの粗忽者だ。

 母ちゃんは母ちゃんで、親父と同じくらいのオタクだ。

 デートで『デリケートに好きして』を歌ったせいで、親父に『オレ、この女と結婚しようと思った』と言わしめ、ロックオンされた、哀れな犠牲者だった。

 そんな二人は俺に『英才教育』を施すつもりだったらしいが、正直ソッチ方面は、あまり興味はないんだよな。

 巷で話題になった作品だの、オヤジ達が是が非でもこれは見とけって作品を、付き合って見るくらいで。

 むしろ、海外ドラマとか、映画の方が女の子と喋るときのネタになるんですけど……。
 

 ……なんてことをボンヤリ考えてると、母ちゃんが、ルイズに土産を持っていけと言う。

「土産?」
「フランス語版の『ベルサイユのばら』」
「貴族の、それも公爵家の娘さんに、王族処刑する話はヤバイだろ……」

 さすがの親父も呆れ顔だ。

「いいのよ。うちの才人掻っ攫おうなんて考えてるんだから。泥棒猫にはお似合いよ」
「いや、別に俺ら付き合ってるわけじゃねーから」
「でも、まんざらじゃないんでしょ?」

 いや、まあ、そりゃかわいいし……。

「ほら、見なさい。姫さまとやらに献上してえらい目に会ったら万々歳ね」
「嫁にならぬ前から嫁いびりか……」

 親父がゲンナリした顔で言った。


 その時、ブツンとテレビの電源が切れたように真っ暗になって――



 平賀才人の精神は夢の領域ダル・クォールから帰還した。



 ……んー? ここどこだっけ? 確か、スゲーかわいい女の子に出会って、海で変なおっさんに会って……


 ガバっと粗末な毛布を蹴り上げて、才人は起き上がった。

 今の才人は、袖の長い、白い木綿の服を着ていた。あちこち草臥れていて、胸の部分には穴が開き、そこを中心に赤茶けたシミが所々に付いている。ジーンズとパーカーは乾かすために、昨日、イングリット・バウアーソンという女将さんに渡してしまったのだった。

 それから、なんという動物かはわからないが、毛皮の腹巻まで借りていた。と、いうのも、赤道付近の宿屋には当然のことながら、セントラルヒーティングのような暖房装置がなく、海水を浴びたうえに、隙間風にも晒されるのは不憫というイングリットの配慮によるもので、昭和の親父さんの様なダサさにかかわらず、才人はその配慮を素直に受け入れたのだった。

(何か変な夢見てた気がするけど……あーだめだ。全然覚えてねえ。っていうか、やべえ。トイレ行きたい。場所どこだっけ?)

 まだ上手く働かない頭のエンジンをむりやり回転させ、貸し与えられたサンダルを履いて、ドアを開けたところで、イングリットの娘、アイーダの声が右隣から聞こえてきた。

「あ、オネーちゃん起きたんだ? お母さんに知らせてくるね!」

 その声と同時にアイーダが部屋から飛び出してきた。

「アイーダちゃん!」
「あ、お兄ちゃんも目が覚めたんだ?」

 パタパタとサンダルの音を響かせながら、昨夜、ベッドメイキングをしてくれた娘が、才人の側まで寄ってきた。

 この子将来はスゲー美人の看板娘になるなあ、つり目で切れ長ですっごいキツそーだけど。と、才人がぼんやり考えていると、アイーダは靴先を揃え、両手をハの字型にお腹の上に重ね「おはようございます」と頭を下げた。

「ああ、おはよう」と才人も挨拶を反す。

 この子ホントよく出来た子だわ、と才人は思った。

「おねーちゃん目さめたよ?」
「うん、ありがとう。それも大事な事だけど、トイレの場所教えてくれない?」
「トイレってなあに?」

 アイーダにとって、トイレは竜語を更に省略した未知の言葉だった。

「ああ、ええと、便所はどこかなって……」
「あ、お手洗い? 階段降りたら左にあるよ。扉を開けて奥の方から男、女、うぉーふぉーじど、タマちゃんだから注意してね」
「は? タマちゃん?」

 才人が聞き返すと、アイーダはしまった! と言わんばかりに目を大きくして、両手で自分で口を抑えた。

「……ひょっとして言っちゃいけなかったのか?」
「うん。宿代や酒代を払わない人用のお手洗いなの。玉齧りのタマちゃんって言ってね、ここら辺じゃ有名ネームド・モンスターなんだよ。テケリ・リってかわいい声で鳴くの」

 そのトイレには絶対にいかないぞ、と、才人は固く誓った。

『あの……』

 アイーダの隣にある、開けっ放しのドアから、ルイズが顔を出した。側に立っているサイトを見て、喜びに顔を綻ばせた。

『確かサイトっていったかしら? 良かった。無事だったのね。貴方の事がずっと気がかりだったのよ』     
「ああ、うん、アンタも無事でよかった。訳も分からず放りだされたから……」

  
 アンタと、相変わらず貴族への礼がなっていないのにカチンと来たが、ここは我慢だ。と、ルイズは自分に言い聞かせた。サッド達とは言葉が不自由なので、ある意味仕方のない面がある。だが、この使い魔(候補)とは言葉が、左耳のみではあるが、一応は通じる。だが同時に、右耳に聞こえる知らない言葉が煩わしい。

 これは自分が、彼、あるいは、此処の言葉を覚えるまでこの状態なのかと思うと、徒労感と苛立たしさが余計に増した。

『詳しい話は後にしましょう。悪いのだけど、お手洗いの場所知らないかしら?』
  
 その時、才人の中で母親譲りのイタズラ心が湧いてきた。


 ルイズにちょっとばかりイタズラしてもいいんじゃないか。何しろ、魅力的だが、メチャクチャ危険なこの世界に俺を連れてきたのは、彼女なんだから……。


「トイレ? 階段降りて左のドア開けたら最初のドアだヨ。男は一番奥のドアだヨ。俺も行きたかったから一緒に行キマショウ」
「え、違」

 才人の誤りを指摘しようとしたアイーダの口をパッと塞いで、才人はサア、イキマショウと棒読みでルイズを伴い階下へ降りた。


 ――数十秒後、ルイズの悲鳴が波高亭に響き渡った。






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